憂鬱な季節

 憂鬱な季節が近づいています。僕の春は、梅の香りでもモクレンの白い花でもなく、寝起きのけだるさと、喉の奥が張り付いたような痛みとともにやって来ます。
 花粉症なる優雅な名前のアレルギーを患ってかれこれ十年になるでしょうか。毎朝起きると大量のタンが出て、体がけだるくなると、春の足音が近づいて来たというわけです。
 よく花粉症は熱が出ないと言いますが、あれは嘘です。アレルギーは体の拒否反応ですから、熱も嘔吐も下痢も、なんでもあるのです。目が痒く、鼻水が止まらない程度なら、その年は幸運だったと思うことにしています。
 喉の粘膜が荒れてしまいますから、当然風邪もひきやすく、花粉症と風邪のダブルパンチの状態がえんえんと続く場合もあります。一ヶ月近く微熱が下がらないという年もありました。

 九月にグループ展が決まりました。その準備で、会場の下見をして、ラボの林さんに問い合わせをして、友人の女性にモデルの御願いをして、ー彼女はとても才能豊かなアーティストです、以前も御願いした事があるのですが、今回やってもらえるかどうかは、まだわかりません。
 そしてデッサンにかかろうと思った矢先に、僕の春が来ました。

 先週は雪が降ったというのに、どうやら今年の春は、いつもより一足早く訪れたようで、数日前に目覚めた時に、喉の奥に春が張り付いていました。以来咳が止まらず、微熱が体にまとわりつき、ぐったりとしています。

 僕は心底医者に行くのが嫌いなのですが、このままでは仕事にならぬと、今日意を決しました。

 「花粉症を患っています、でもなんだか風邪みたいです」とそりゃあ見事なハスキーボイスで訴えると、

 「ははあ、花粉症と風邪だなあ、こりゃ」と言われ、ナルホドと至極納得しました。

 なんだかいいかげんな気もしますが、鼻を洗浄して色々薬を飲むと、ありがたいことに、久しぶりに少し楽になりました。やっぱり医学は偉大なのです。

 そんな次第で日記の更新の間が空いてしまいました。
 次回は九月の展覧会の事について書こうと思います。