2010-01-01から1年間の記事一覧

ホモアクトレス 

前回の日記で、演じるということを書いていて、思い出したことがあります。 我が家に猫がいました。 まだ目も明かない捨て猫を二匹、原美術館の庭で拾ってしまって、これも縁かと思い、育てました。 へその緒もついたままの新生児だった子猫たちは、危うい命…

女性と演技

近ごろ諸用があって 「夜想会」という劇団の若者たちと出会いました。まっすぐで、温かい人たちです。 この劇団は、演出家の野伏翔さんが主宰しておられ、横田めぐみさんの拉致問題をあつかった「めぐみへの誓い」などを公演し、その際には横田さん、ご夫妻…

消え行くものと残るもの

身辺に色々あって多忙を極めていたので、ずっと日記が書けないままでしたが、ようやく一息つき、久しぶりの再開です。 今年の九月の「いのちを見つめる」展の打ち合わせの時、同席した島村美紀さんから、写真のラボを紹介して欲しいと頼まれました。彼女も写…

九月の展覧会

今年の九月にさいたま市のプラザノースギャラリーで、いのちを見つめる/美術とリプロダクションというグループ展を開催します。 さいたま市の北にある、ショッピングモールや役所が入った複合施設なるものの中に、このギャラリーはあります。この手の施設に…

明日のない日

先週日記を書いて四日後に、母が他界しました。姉夫婦が経営する小田原の病院で未明に息をひきとったとの知らせが入りました。 白い経帷子を着て、手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)に草鞋(わらじ)を履いて、六文銭を手に旅立ちました。母の実家の宗旨が浄…

話芸 桂米朝と高田後胤官主

寒さのせいか、友人に近親者の不幸が続きました。そんな年代になったという事でもあるのでしょう。 生前父は、薬師寺の高田後胤官主と懇意にしていましたので、父が他界した時、官主に大層お世話になりました。薬師寺は南都六宗の一つ法相宗で、本来法事はさ…

パリの教会

先週末、義母の訃報の知らせに、田園調布の教会に行きました。体の芯が凍る寒風の中、東急東横線多摩川駅から教会に向かう人気の無い坂道は、パリの冬のようで、微熱の体には応えたけれど、なにやら妙に懐かしい風景でした。 幾度かの引っ越しの末に、貧しい…

憂鬱な季節

憂鬱な季節が近づいています。僕の春は、梅の香りでもモクレンの白い花でもなく、寝起きのけだるさと、喉の奥が張り付いたような痛みとともにやって来ます。 花粉症なる優雅な名前のアレルギーを患ってかれこれ十年になるでしょうか。毎朝起きると大量のタン…

稲憲一郎展

「見ることは考えることだ」 ジャスパージョーンズの言葉です。稲憲一郎の作品を見ているといつもこの言葉を思い出します。 稲さんとは、知り合ってもう随分になります。アーティストとしての長いキャリアと実績のある方ですが、気取りの無い方で、いつもど…

アメリカ

パンパン! 兄と二人ソリに乗って遊んでいると、銃声が聞こえました。歩道の両側には除雪された雪が子供の腰のあたりまで積もり、真っ白な駐車車両が並んだ車道。抜けるように青く澄み渡った空。雪景色はきらきらとまぶしく、あたりに人影はありませんでした…

デモ

人生初めてのデモの感想は「寒い」の一言でした。 日比谷公園に集まった人々は、おそらくその多くが僕と同じような、ごく普通の日頃政治運動などには関係のない暮らしをしている方たちに見えました。お年寄り、子供連れ、若い女性もいました。 そんなデモと…

外国人地方参政権

溜め息をつきながら、重い気分でこの文を書いています。 政治とはあまり相性が良くないので、これまで距離を取って来ました。この日記の中でも政治問題や社会問題には触れたくないと思っていました。けれどこれはいけません、この愚かな法案には反対しなけれ…

正月

あけましておめでとうございます。 年末年始と雑用に追われて、気がついたら年が明けていました。 年々一年の境界が希薄になって行くような気がします。歳を重ねて行くというのはこういう事なのか、それとも固有の問題なのか、よくわかりません。 デジタルの…