正月
あけましておめでとうございます。
年末年始と雑用に追われて、気がついたら年が明けていました。
年々一年の境界が希薄になって行くような気がします。歳を重ねて行くというのはこういう事なのか、それとも固有の問題なのか、よくわかりません。
デジタルの世界に年の境は無く、雨が降ろうが槍が降ろうが、微弱な電流は年中無休で世界を巡り続けています。町ではコンビニもデパートもたいていの店が、変わりなく営業を続けています。
昔パリに渡ったばかりの頃、クリスマス後から年明けにかけて、まったく買い物が出来なくて困ったものです。
僕が子供の頃の日本もそうでした。町から車が消え、道路は閑散として、店は軒並みシャッターを降ろして、静かに息を潜めていました。すべてが止まって、静かに新しい時間の始まりに備えていたように思います。
果てしなく続く時間の流れに区切りをつけるのは、昔の人の知恵でした。時間は立ち止まってくれないので、自分達が立ち止まって一息入れていたのかも知れません。
町に門松が減りました。
門松もクリスマスも、もとを辿れば常緑樹を祀る古代人の祈りでしょう。厳しい寒さに耐えて青々と葉を茂らす常緑樹の生命力に、自然の神秘と力を見たのでしょう。
一年中萎れた葉を無闇に茂らす僕たちの暮らしには、もう必要ないのかも知れません。