あーとふるないと#7 放送後記 アンギアーリの戦いの話

今回はフリートークの回。
近ごろ、風呂で寝てしまって溺れかける、という話からスタートして、特別テーマというほどのものもなく、ダラダラ〜っと。
そのうち話は、自分の作品の話になり、ベルリンでのインスタレーションの思い出になりました。
勢いと流れで話しているので、いつの間にか、時間をとってしまって、当初は「アンギアーリの戦い」の話をしようと思っていたのですが、またしても配分に失敗。

この絵は謎の多い絵です。

アンギアーリの戦い」は、ダヴィンチがフィレンツェ政庁舎に描いた壁画ですが、制作の途中で技術的に失敗して、完成しなかったと伝えられています。
 その後、ヴァザーリの手によって、上から描き直されたと言われ、現在もその絵が残っています。

しかし、未完成で放り投げたと言われながらも、一方でかなり完備された模写が多数残っていること。
ダヴィンチが当時から多大な尊敬を集めていた画家で、ヴァザーリもまた彼を尊敬していたので、上から塗りつぶすという行為に出るかどうか、、疑問だということ。
それらのことから、さまざまな憶測がある絵です。

壁画は失われたけれど、その下絵になる作品が残っている。
模写はその下絵原画を見て描かれたのだ。
美術界でそんな話もまことしやかに伝えられて来ました。

最近では、ヴァザーリの壁画の壁の後ろに、もうひとつの壁があり、そこに絵が残っているという珍説もあるようです。

噂や憶測が入り混じって、美術界最大の謎、、。

僕はその「アンギアーリの戦い」の写真を見たことがあるのです。まるでギャラリーフェイクのような、いわくつきの話ですが、、。

自分の目には、かなりの自信があります。
間違っても二流の画家の模写などに簡単に騙されることはないと思っていますが、その大判の写真の絵は、どう見ても、、極上のダヴィンチの絵に見えました。

エックス線写真も添付された資料は完備されたもので、作品の来歴がイタリア語と英語で、詳細につづられていました。

初めてその写真と資料を見たときは、手が震えました。

今も、その時の衝撃を忘れません。
不思議な夢のような体験です。
なぜ、僕のところにそんな資料が流れ着いたか、
それはここには書けないけれど^^;

とても僕がどうにか出来る話じゃない!

あわてて資料を返しましたが、、

あれは、本物だったのか、、
僕の誤りで、ただの模写だったのか、、?

もし模写だとしても、
当時のトップクラスの画家が描いた模写であることは間違いない、、
と今でも思っていますが、、。