あーとふるないと#10 ジョルジュ・デ・キリコ シュールレアリスム 民族の歌

パリの夏は陽が長い、、。
10時頃まで明るさの余韻があります。

貧しい画学生は、夏の夕べ、美しい町並みをひたすら歩いて過ごしていたように思います。

シテ島の、散歩でよく歩いた道沿いに、高級なレストランがありました。
夕暮れそぞろ歩きながら、いつもその店の前で立ち止まったものです。

街は青く黄昏れて、オレンジの柔らかな光に包まれた明るい店内に、着飾った人々。
大きな美しい飾り窓越しに、キリコの作品は見えました。
へクトールとアンドロマケーを題材にした絵です。

いつかこんなレストランで食事を出来る身分になりたい。
キリコの傑作を見ながら、ワインを片手に陽の長いパリの夏の夕べを過ごす日を、夢に見ました。
どうやらかなわぬ夢で終りそうですが、、。

話はそのヘクトールとアンドロマケーの別れから始まりました。
この絵は倉敷の大原美術館にあるものですが、同様の絵のバリエーションをキリコは沢山書いています。

キリコの絵は、遠近法がことごとく、狂っています。
描かれたものも、相互の関連性に乏しく、謎めいて、、
広場には人影がなく、深閑とした風景は
なにもかもが少しづつ狂っている、、
軽いめまいを憶えるような白日夢の世界です。

そんな導入から、、彼の形而上絵画の世界がひらいたシュールレアリスムの扉という話に展開して行きました。

アーカイブをアップしましたので、ぜひご覧下さい。