ヒエロニスム・ボッシュ
数少ない好きなテレビ番組に、テレビ東京でやっている「美の巨人」があります。滅多に見られないのですが、昨日ふっとチャンネルを合わせると、ヒエロニスム・ボッシュをやっていました。
ボッシュは、美術史の謎の画家です。とりわけその代表作「快楽の園」は、謎に満ちた絵です。
ずば抜けた想像力で描かれた、異形のものたち。
不可解な寓意に満ちた登場人物たちの所作。
ボッシュの生きた時代を考えれば、彼が個人的な目的でこの大作を制作したとは思えず、なんのために、なにを描こうとしたのか、それは何者か。
異端審問が吹き荒れるヨーロッパで、
この異様な絵が生き延びたのはなぜか、、。
諸説がありながらも、確定的な証拠もなく、
実際はまったくわかりません。
長らくこの画家について考えていなかったので、
テレビを食い入るように見ましたが、
やはり新しい発見はなかったようです。
ちょっとがっかりして番組を見終えると、
久しぶりにボッシュの画集を広げて、見入っていました。
あらためて、不思議な絵です。
所々にヒントらしきものは見当たりますが、
あの時代の複雑な北方ヨーロッパの宗教界の事情に精通していないと、
彼のアイロニーもユーモアも、到底理解できません。
ただただ、彼の想像力に圧倒され、
そして、当時の北方ヨーロッパ世界と
現代の世界観のギャップの深さを
ひしひしと感じた夜、、
なにを描こうとしたのかなあ、、
でもまあ、謎は謎のままでいいか、、。