話芸 桂米朝と高田後胤官主

寒さのせいか、友人に近親者の不幸が続きました。そんな年代になったという事でもあるのでしょう。 生前父は、薬師寺の高田後胤官主と懇意にしていましたので、父が他界した時、官主に大層お世話になりました。薬師寺は南都六宗の一つ法相宗で、本来法事はさ…

パリの教会

先週末、義母の訃報の知らせに、田園調布の教会に行きました。体の芯が凍る寒風の中、東急東横線多摩川駅から教会に向かう人気の無い坂道は、パリの冬のようで、微熱の体には応えたけれど、なにやら妙に懐かしい風景でした。 幾度かの引っ越しの末に、貧しい…

憂鬱な季節

憂鬱な季節が近づいています。僕の春は、梅の香りでもモクレンの白い花でもなく、寝起きのけだるさと、喉の奥が張り付いたような痛みとともにやって来ます。 花粉症なる優雅な名前のアレルギーを患ってかれこれ十年になるでしょうか。毎朝起きると大量のタン…

稲憲一郎展

「見ることは考えることだ」 ジャスパージョーンズの言葉です。稲憲一郎の作品を見ているといつもこの言葉を思い出します。 稲さんとは、知り合ってもう随分になります。アーティストとしての長いキャリアと実績のある方ですが、気取りの無い方で、いつもど…

アメリカ

パンパン! 兄と二人ソリに乗って遊んでいると、銃声が聞こえました。歩道の両側には除雪された雪が子供の腰のあたりまで積もり、真っ白な駐車車両が並んだ車道。抜けるように青く澄み渡った空。雪景色はきらきらとまぶしく、あたりに人影はありませんでした…

デモ

人生初めてのデモの感想は「寒い」の一言でした。 日比谷公園に集まった人々は、おそらくその多くが僕と同じような、ごく普通の日頃政治運動などには関係のない暮らしをしている方たちに見えました。お年寄り、子供連れ、若い女性もいました。 そんなデモと…

外国人地方参政権

溜め息をつきながら、重い気分でこの文を書いています。 政治とはあまり相性が良くないので、これまで距離を取って来ました。この日記の中でも政治問題や社会問題には触れたくないと思っていました。けれどこれはいけません、この愚かな法案には反対しなけれ…

正月

あけましておめでとうございます。 年末年始と雑用に追われて、気がついたら年が明けていました。 年々一年の境界が希薄になって行くような気がします。歳を重ねて行くというのはこういう事なのか、それとも固有の問題なのか、よくわかりません。 デジタルの…

矢野ミチル

過日、矢野ミチル君のショウに行きました。「二つの心臓」と題された、村上大樹と矢野ミチルの共作でした。 矢野君は、僕がアートポイントと言う画廊で個展をしていた頃に知り合いました。若いアーティストとの付き合いがほとんどない僕には、彼は数少ない珍…

村松画廊 終宴 

昨日京橋の村松画廊に行きました。会場には李禹煥、菊畑茂久馬、堂本尚郎、斎藤義重、篠原有司男ら、戦後の日本のコンテンポラリーアートをになって来た作家の作品が並んでいました。 終宴と題された展覧会は今月二十五日で終わり、そして画廊もまた終わりま…

 アクセス

今日このサイトのアクセス数が一万回を越えました。そのうち、九千九百回くらいは僕自身だと思っていますが。 「定義されたエレメントの該当するサイバービヘイビアを手動で、、」どーにかすると、、 どーにかなるのだそうです。 「う〜む」 と言うわけで、…

井上陽水

今日井上陽水の40th Special Thanks Tour 武道館公演に行きました。盛況で、追加公演にもかかわらず満席でした。客層はやはり高齢の四十代から五十代くらいの方が多いのですが、時には母親が娘をともなって、あるいは父親が息子を、といった光景もそこかしこ…

Mail 

前々回に続いてメールの話です。 何年か前から、メールに市場を奪われたという嘆きを聞く事が多くなりました。ついでに近ごろの若者は本を読まなく成ったという話もよく聞きます。 果てしない物語の作者、ミヒャエル エンデが来日した時、同様の事を聞かれて…

加藤啓 手品師とトンボ船 

JR中野駅にほど近いテルプシコールは、四十席ほどで満員の小さな小屋で、足下から伝わる電車の振動がほのかに心地良く、そしてパフォーマンスは何時ものように、さりげなく始まりました。 加藤氏とは有隣調査団という企画で出会って以来の付き合いで、律儀な…

Mail

過日、フィンランドに渡った知人からメールが届きました。このサイトを開設した知らせへの返信です。海外とのメールのやりとりはこれまでにもあるけれど、僕の人生の地図に絶えて乗ったことのないフィンランドという国から、というのがなにやら新鮮で、あら…

竹久夢二 

竹久夢二の装丁や挿画を展示していると知って、夢二美術館に向かいました。 本郷弥生の交差点を東大工学部のレンガ塀に沿って根津に向かい、途中暗闇坂を右に折れてだらだらと下る左手に美術館はありました。一戸建ての民家を改装しただけの小さな美術館で、…

絵描きというもの

「絵描きが能書きなんて言い始めたら、おしまいだよ」 と大昔、ある批評家に言われました。 言葉にならないから、描いているのでしょう?潔く、観客にまかせなさい。という意味でしょう。 なるほどもっともな事です。一言もありません。でも多くのアーティス…

インスタレーション エドワード・キーンホルツ

今日、リンクが切れていたインスタレーションのファイルをアップしました。 テストでネット上に流して二週間余り、気になっていたものの、事情があって手を入れられずにいたものです。これでようやく僕のウェブが一通り完成した事になります。 インスタレー…

ニューレトロ

今はどうか知りませんが、少なくとも僕が住んでいた頃、日本人作家の作品はヨーロッパではほとんど評価されていませんでした。なにも、かの地の評価だけが絶対では無いとは思いながらも、僕の目にも、残念ながら同胞の作品の大半は魅力的ではありませんでし…